T room
edited by takuya yamada

スペイン

キャンリス

建築家自邸
設計:ヨーン・ウッツォン
マヨルカ島 竣工1972年

建築家ウッツォンの自邸である。
マヨルカ島はスペイン本土から東に位置する地中海の島の一つである。
敷地は島の南東の海岸沿いにあり、切り立った崖の上に位置する。

建物は崖に沿った形で5つのブロックに分かれており、中庭、食堂、居間、主寝室、寝室になっている。各ブロックを行き来する時には外部を通ってアプローチする。ブロックとブロックの間には隙間があり海からの風が通り抜け、各ブロックの入口ドアから心地よい風が入るようになっている。居間や寝室の南側開口部は石で出来た巨大なはめ殺しの出窓(ビューウィンドウ)となっており、キャンリスの一番特徴的な居間は5つの凹凸の出窓で、窓から見える海の景色はあたかも洞窟から外を見るような錯覚に陥る。室内からは窓枠が見えないように工夫されているためその効果がよりいっそうある。
建物の内外装は地元で調達出来る材料を使っている。柱や壁はマレス砂岩で作られ、屋根はカタロニア産のテラコッタタイルを使っている。そのためか地元の風景に馴染んだ外観となっている。煙突もウサギの耳のようなカタロニア風の三角形!
 
一見、組積造の素朴なバナキュラーな建物に見えるが、よくよく見ていくとそう単純でもない。この建物を複雑かつユニークな建物にしている理由の一つはプレキャストコンクリートで作られたI型の梁ではないだろうか。外部から建物を見上げるとマレス砂岩で出来た柱や壁の上に白く塗られたI型の梁が規則正しくかけられているのが目に入る。居間の天井を見上げても独立柱の上に2本のI型の梁が天井面を支えるような形で使われているのを見ることができる。この梁は白色で塗装されているのでマレス砂岩との対比が明確に分かるようになっている。また、I型梁を含めたカタランボールトが建物にあるリズムを与えており、伝統的で素朴な作り方をした建物にある新しさ・特異性を与えているのではないだろうか。
このように積石造+コンクリート梁(自然材料/地元の材料+人工材料/ユニバーサルな材料)という組合せを意匠的にあらわすのには目に見えない部分で様々な努力、計算がなされているとは思うのだがその辺があまり意匠的に主張されすぎず、心地よく感じれるのがウッツォン建築なのかもしれない。
 

内外装
外壁/マレス砂岩 400×800
屋根/カタロニア産テラコッタ瓦(ボベディーヤ)
磁器タイル/マヨルカ産タイル
家具/マヨルカ産マツのマデラ・ノルデ材
台所/santanyi stone
煙突/カタロニア風三角形

 
   

google mapより引用

 
google earthより引用

 [Jorn Utzon Houses]  Living Architecture Publishingより